[カルメル会はどのような修道会なのでしょうか?]
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カルメル会の改革者イエスの聖テレジアは、16世紀、カトリック教会が自らの | |
腐敗と宗教改革で揺れ動く時代に、「キリストの良い友」(『完徳の道』1章)になって、 | |
「私たちの主をお助けしましょう」(同上)と1562年に従来のカルメル会を刷新し、 | |
新たに跣足カルメル会を創立しました。 | |
母である教会のために、一心に祈る共同体を創ることによって、キリストと教会を | |
助けようとしたのです。 | |
私たちはイエス・キリストのそばに集められた家族として、小さな「キリストの集い」 | |
(『会憲』)であり、キリストが示された――愛――を最高の掟としています。 | |
それとともに、神との孤独の中での交わり、念祷、貧しさの上に築かれた生活に | |
おいて、観想に招かれています。 |
当会には聖テレジアの精神を受け継ぎながら | |
それぞれのカリスマを開花させていった多くの聖人たちがいます。 | |
その中でも、よく知られている19世紀末のリジューの聖テレーズは | |
教会に新しい霊感を吹き込んで大きな影響を与えました。 | |
彼女の生き方は実に単純で、だれでも慈しみ深い父である | |
神に近づき神に信頼する事ができることを教えてくれます。 | |
「母である教会の心臓の中で、私は愛になりましょう」(自叙伝原稿B) | |
といった聖テレーズにならって、私たちも、 | |
神の愛に生かされて神と人々を愛することに努めます。 | |
もし教会の心臓に神との交わりの愛の炎が消えれば、 | |
「使徒は福音を宣べ伝えることをやめ、殉教者たちは血を流すことを拒むでしょう」 | |
(同上) | |
祈ることと愛すること、これがカルメル会修道女の使徒職です。 | |
私たちは、隠れた閉域内の祈りの生活とカルメルの霊性を生きることとを通して、 | |
現代の社会に対して神の存在の証し人となることを望んでいます。 |
[祈りの生活をどのようにしておられるのですか?]
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毎朝、山口カトリック教会の司祭が来院され、ミサが捧げられます。 | |
ミサは1日の生活の中心です。 | |
また、「教会の祈り」を毎日7回(朝の祈り、三時課、六時課、九時課、晩の祈り、 | |
寝る前の祈り、読書課)にわたって共唱します。 | |
また毎日、朝夕1時間ずつ、ご聖体の前で念祷を行います。 | |
念祷は口に出さない心の中の祈りで、キリストと心と心の対話、友情の交わりです。 | |
この沈黙の祈りの時間はカルメル会の特徴で、イエスの聖テレジアは次のように | |
言っています。 | |
「念祷とは、自分が神から愛されていることを知りつつ、 | |
その神と、ただ二人だけでたびたび語り合う友情の親密な交換にほかなりません。」 | |
念祷に忠実であることで、キリストとの対話は深まり、私たちは少しずつキリストの | |
親しい友となっていきます。 | |
「わたしにつながっていなさい、わたしもあなたがたにつながっている」(ヨハネ15・4) | |
「あなたがたがわたしの名によって何かを父に願うならば、父はお与えになる」(ヨハネ16・23) | |
とあるように、キリストとの親しさの中で、慈しみ深い父である神のみ心を受け取り、キリストと共に、 | |
この世界と人々への神のみ心の実現を祈っていきます。 | |
また、聖母マリアを通して祈ります。 | |
歴史的に確認されていますが、カルメル山上の最初の隠修士たちは、小聖堂を聖母に奉献しました。 | |
そこからマリアは会の母、姉妹、保護者として敬われるようになりました。 | |
マリアの徳に包まれて、キリストを通して父である神に祈ります。 | |
また、イエスの聖テレジアは祈りの生活の保護者として聖ヨセフに篤い信心をもっていました。 | |
私たちは聖ヨセフの取りなしに信頼し、そのご保護を求めます。 |
[カルメル会の聖人たちは?]
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十字架の聖ヨハネ | |
イエスのテレジアの改革に協力した十字架の聖ヨハネは、 | |
苦難の多い生涯を神との一致のうちに生き、それを著作に | |
著わしました。 | |
聖テレジア、十字架の聖ヨハネ、聖テレーズの三人は | |
教会から教会博士と宣言されています。 | |
「純粋な愛は、たとえごくわずかでも、他のすべてのわざを | |
あわせたより、神の目にも、霊魂の目にも、いっそう貴重で、 | |
教会のためにいっそう有益です」(『霊の賛歌』28の歌) | |
と書く彼は神の愛に生かされた愛の行いに最上の価値を | |
見出しました。 | |
三位一体のエリザベット | |
聖テレーズと同時代の三位一体のエリザベットは、心の内奥に | |
おける神の現存を深く悟り、「神は私のうちに、私は神のうちに」 | |
の彼女の言葉通り、絶え間ない神との親しい | |
交わりのうちに短い生涯を生きました。 | |
エディット・シュタイン | |
第2次世界大戦中、アウシュビッツで殉教した | |
十字架のテレジア・ベネディクタ(修道名)は、 | |
哲学者エディット・シュタインとして知られます。 | |
ナチの手が迫る中で、イエスのように、生涯の苦難を民の | |
救いのため、人類の罪のあがないのために担い、捧げました。 | |
絶筆となった収容所からの手紙に、 | |
「これまで心から祈ることができました」と書いています。 | |
[どうしてその所に修道院を創られたのですか?]
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神のはからいで私たちはこの地に創立することになりました。 | |
この修道院は広島教区でただ一つの観想修道院です。 | |
原爆を体験した地で、平和のために、混迷する現代世界の | |
ために、聖母とともに祈る使命を強く感じています。 | |
また、この山口は日本にキリスト教をもたらした | |
フランシスコ・ザビエルの宣教した地です。 | |
世界宣教にあたったザビエルと、 | |
生涯、修道院の中で祈り続けた聖テレーズが奇しくも共に、 | |
教会から宣教の保護者と宣言されました。 | |
二人の保護者の熱意をもって、 | |
私たちも祈りの使徒として励みたいと望んでいます。 |
[作業は何をしておられるのですか?]
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私たちの修道院では祈りの生活を支える手段としてスリッパ縫製やカード製作、 | |
その他、畑仕事、パンとケーキ作り、台所仕事、花や果樹の世話などの | |
単純な作業をしていますが、これらのささやかな、従順による奉仕と労働、 | |
小さな犠牲を、愛をこめてお捧げして祈っていくことが、私たちの1年365日です。 | |
このようにして現代の人々の喜びと希望、苦しみと悲しみと連帯していきます。 |
※ 作業の画像は、メニューのカルメル会の四季の中、 日常の風景から御覧頂けます。※ |
山口カルメル会の一日 | |||
5:00 | 起床 (平日) | ||
5:15 | 朝の祈り | ||
6:50まで | 念祷 | ||
7:05 | 院内鐘 続いて鐘楼の鐘 | ||
7:15 | ミサ | ||
感謝の祈り (10分間) | |||
3時課 | |||
朝食 | |||
9:40まで | 霊的読書 | ||
仕事 | |||
11:25 | 糾明 (5分間) | ||
昼食 | |||
13:10まで | 休憩時間 | ||
6時課、9時課、マリアへの祈り、聖体訪問 | |||
15:00まで | 修室隠棲 | ||
仕事 | |||
17:00 | 晩の祈り | ||
18:25まで | 念祷 | ||
夕食 | |||
20:00まで | 休憩時間 | ||
寝る前の祈り | |||
読書課 | |||
22:40 | 消灯 |